チョコレートコスモス チョコレートコスモス
恩田 陸 (2006/03/15)
毎日新聞社
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「まだそっち側に行ってはいけない。そっち側に行ったら、二度と引き返せない。」

幼い時から舞台に立ち、多大な人気と評価を手にしている若きベテラン・東響子は、奇妙な焦りと予感に揺れていた。伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎が芝居を手がける。近々大々的なオーディションが行われるらしい。そんな噂を耳にしたからだった。
同じ頃、旗揚げもしていない無名の学生劇団に、ひとりの少女が入団した。舞台経験などひとつもない彼女だったが、その天才的な演技は、次第に周囲を圧倒してゆく。
稀代のストーリーテラー・恩田陸が描く、めくるめく情熱のドラマ。
演じる者だけが見ることのできるおそるべき世界が、いま目前にあらわれる!


久々におもしろい本に出会ったって気分でした。ぐわーっと一気に読んじゃいました。
最初は<演劇モノ>くらいの情報しか知らなかったので、いつもの如く恩田さんのミステリー感覚で読んでいました。警戒心たっぷりに。(笑)
最初は神谷さん視点で佐々木飛鳥が描かれていたので、どうしても謎めいた香りがするんですよ。でも、響子さん視点、巽くん視点に代わっていくうちに、この話の世界に引き込まれていきました。そうなると、俄然おもしろい。
とにかく、演技をしてるシーンがいいですね。特に対決。『ララバイ』の途中でやるエチュードでガラスケースに入っている金の林檎を見張りから手に入れるところや、後半のオーディションなど、読んでいてどきどきします。その場の空気感みたいなものがしっかり感じられて、情景が見える。うまいですね。
登場人物では佐々木飛鳥にはあまり惹かれませんでした。
個人的に原石のシンデレラストーリーは大好きなのですが、この佐々木飛鳥はちょっと苦手です。あまり人間味が感じられなかったからかもしれません。空っぽな感じがします。(表現ではなくて、登場人物の性格上で)
吸収力などはすごいですし、演技をしているところは良いのですが、演技に対する気持ちが佐々木飛鳥自身に見えていないあたりが原因なんですよね。
まぁ、それが佐々木飛鳥の特徴なので、問題ないとは思います。そして、そんな風に佐々木飛鳥が描かれていたので、読みやすかったような気がします。特徴が掴めないので、全体のアクの強さが中和されたように感じました。
反対に好きなのは響子さん。まっすぐな感じがすごく好感です。気持ち良い。
あとは無難に巽くん。可もなく不可もない感じです。
巽くんが書いた作品はいろいろ気になります。そして、劇団ゼロの旗揚げ公演の「目的地」は実際に全部観てみたいです。

続編は特にどっちでも良いです。私はここで完結でも十分満足です。もちろん、変化した佐々木飛鳥がどう変わっていくか興味はありますけど。

今回は恩田さんらしくなく(笑)無事に綺麗にまとまっていると思います。
「おもしろかった!」ときちんと言えて、他人に薦めることのできる作品でした。


















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